「あしながおじさん」本編より
机の上に便箋を出しっぱなしで出かけたんです。
そして今ここへ来て見ると、便箋のまん中に何が鎮座
していたとお思いになりまして?正真正銘の
あしながおじさん(かがんぼ)なのですよ! 新潮文庫松本恵子訳
夏休みロックウィロー農園で書いた手紙の一部。
↓「あしながおじさん(ががんぼ)」(ウェブスターの描いた絵)
??「あしながおじさん」が虫(ががんぼ)??どういう事??
「あしながおじさん」の原題は「Daddy-Long-legs」といいますが
「Daddy-Long-legs」を英語で調べると
「リーダーズ英和辞典」では
[米]ザトウムシ (harvestman) [英]〔昆虫〕ガガンボ (crane fly)
[俗称][joc] 足の長い人,足長おじさん
「Daddy-Long-legs」とは足の長い虫の事です。
そして愛称が「あしながおじさん」なのです。
↓イギリスでは「かとんぼ」=「大蚊(ががんぼ)」
↓アメリカでは「ザトウムシ」(和名メクラグモ)
その他の英語圏「アシナガグモ」
ジュディが見たのはアメリカなので「ザトウムシ」ではないでしょうか?
「あしながおじさん」というタイトルが定着したのは、1933年の
岩波文庫の遠藤寿子(えんどうひさこ)さんがつけて現在に至ります。
「Daddy-Long-Legs」=「ザトウムシ」=「あしながおじさん」
それ以前の初訳は1919年東健而(あずまけんじ)さんの
「蚊とんぼスミス」です(ジョン・スミスはあしながおじさんの偽名)
イギリスの「蚊トンボ」を採用していますね。
「Daddy-Long-Legs」=「蚊とんぼ」+「スミス」=「蚊とんぼスミス」
東健而さんの訳題「蚊とんぼスミス」は直訳といって良いですね。
「Daddy-Long-legs」=「蚊とんぼ」とそのまま使っています。
「蚊とんぼ」に「あしながおじさん」という愛称があるのは
英語圏の人間には理解できますが日本人には馴染みがないです。
その為、遠藤寿子さんは「Daddy-Long-legs」の直訳ではなく
愛称の「あしながおじさん」の方を訳題につけました。
このほうが分かりやすくインパクトもあり印象に残りやすい
タイトルです。
「あしながおじさん」とついたのは良かったと言えるかも知れません。
それとこの作品「続あしながおじさん」という続編があります。
原題は「Dear Enemy」訳すと「愛しの敵様」という感じですね。
そもそもサリーは出てきますが「あしながおじさん」は出て来ま
せんので「続あしながおじさん」というのは冷静に考えれば
おかしなタイトルといえるかもしれません。