はるかなるわがラスカル 感想

【はるかなるわがラスカル 感想】
世界名作劇場1976年作「あらいぐまラスカル」の原作「はるかなるわがラスカル」は
実話を基にしたノンフィクション作品です(原作は1963年発刊)
この本はスターリング・ノースが12歳の時にアライグマを育てた経験を振り返って書いた
物語で、その精密な描写からダットン動物文学賞なども受賞しています。
著者のスターリング・ノースはアメリカウィスコン州コシュコノング湖の農場で生まれ た
ので本作でも豊かな自然と動物の豊富な世界が描かれています。ちなみにスターリング
ノースは68歳1974年没なので現在と近いですね。
スターリングは動物好きで、なかでもラスカルはお気に入りだったようです。
何より当時スターリングは母親を亡くし悲しみに落ち込んでいたので、それを癒して
くれたラスカルとの出会いは忘れられない日々だったでしょう。
それとこの作品の時代背景に第一次大戦がありスターリングの兄が出征しています。
アメリカのブレールスフォードは平和な田舎町でしたが、海向こうのヨーロッパでは
血みどろの戦争をしているという落差が作品にメリハリを与えていました。
物語の最後に第一次世界大戦は終わり兄は無事に帰ってきます。
「はるかなるわがラスカル」はアライグマのラスカルの生態が分かりつつ、子供時代の
郷愁が味わえる物語で誰でも楽しめる作品だと思いました。
しかし実話と思うと気になるのは、スターリングのお父さんの放任主義だったりします。
というか放任主義ではなく、スターリングのやる事に関心がないのでは?
そんな放任主義のお父さんをスターリング自身はこう評しています。
父はもっぱら過去の想い出のなかに生きていた。そして未来を思いわずらうことは
なかった。父の人生観はあくせくしないことに徹していた。だから一世紀に7ヶ月
足らずの1862年から1961年までの長い年月を、ゆうゆう漂うように生きたのだった。
近親や親類の不幸や、人の世の悲しみや国際問題の紛争の悲劇などには、ほとんど
無感覚と言ってよかった。(「はるかなるわがラスカル」 75P)
アニメでも放任主義でおおらかでしたが、現実のお父さんはそれ以上だったようで
スターリングが言う通り、あくせくしない人生だったから99歳の長寿を全うしたようです。
しかしながらスターリングはそのようなお父さんに対して含む所があったのか、この
ようなことも述べています。
母が47の若さで死んだのはおもにこの気苦労のせいなのだ。自分だけ かけ離れた
夢の世界に生きていた父はどんな痛手でももっともなこととして受け入れる人だった。
そしてぼくの母の死さえも。(「はるかなるわがラスカル」 82P)
スターリング・ノースのお父さんに対する拭いがたい印象だった気がします。
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十傑作さんこんばんは。
>魅力的な保護者は次回作「ペリーヌ」に任せましょう。
やはりペリーヌの保護者が凄いですからね(^^
ではでは
| はぎ | 2011/10/12 22:08 | URL | ≫ EDIT